最近、夜にYouTubeで朗読を聴いている。なるべく絵として思い浮かべやすいものがいい。難しい言葉が並ぶのはよく分からなくなる。今のところ、夏目漱石の『夢十夜』と、安房直子の『海からのおくりもの』 、昨夜は太宰治の『走れメロス』を聴いた。イメージの世界に浸れるのはいい。メロスが走っていた。戻る途中の川の濁流や、山賊の光景も思い浮かぶ。メロス、それはどうなんだ、と思うこともあったが、最後にメロスと人質になったセリヌンティウスが互いの胸のうちを吐露する場面はぐっときた。窪田等さんの朗読がいい。
夢では、一本の白いりんごの木が出てきた。木には、いくつもの白いりんごの実がなっていて、数羽の白い鳥が群がるようにして飛んでいた。だからどうと言うこともなかったけれど、ただ、その白いリンゴの木と白い鳥の光景がなんだか神聖なもののように思えて、一枚の宗教画のように目覚めたあとも記憶に残っている。